ほめことば

 動物を前にすると褒め言葉が止められなくなる。
 しかも無意味な褒め言葉ばかり出てしまう。
 今回はジャーナルの趣旨をかえて(?)うちの老犬ダックスとらさん(仮名)を前にした褒め言葉を集めてみた。
 気持ち悪い言葉遣いなので私への夢を壊したくないよ、なんか気分がのらないよ、って方は読まないでほしい。(動物飼いの方は理解してくれ)


 
●気持ち悪い語りかけ系
「長いねえ、長くうまれてよかったねえ」
「パン屋さんやるねえ、ごーろごーろ、パン屋さんやれてよかったねえ、パンができたよ~(長い胴体をごろごろする)」
「みるの、こっちみるの、みれるの、おめめあるの、おめめあってすごいねえ、かわいいねえ、おめめかわいいねえ」
「あごなでられるのうれしいねえ、あごうれしいねえ、あごがなによりだねえ、あごのために生きてるねえ」
「はしるの。はしれるの。かさこそはしるの。すごいねぇ。はしるのえらいねえ。はやいねえ。おいつけないねえ」
「わんわん、ってするの。将来は音大かな? うたうの。ブラヴァーだねぇすごいいねぇ」
「ルンバこわいねぇ。ルンバうぃーんってするねぇ、こわいねぇ、おそうじしてるねぇ、でもおそうじできなくてもとらさんはかわいいから同じだけすごいねぇ~~」
「スイカおいしいねえ、シャクシャクって音させてたべれるかな? たべれたねえ、おいしいねえ、ちゃんと水分補給できてにんげんのかがみだねぇ(※とらさんはにんげんなのだ)」

●テンション系
「とらさん見に来たよ~~……ウワッ……引く……カワイッ…………いつからそんなに可愛くなった……???(毎日やるやつ)」
「今日、昨日より顔のコンディション100倍よすぎない?????(毎日言うやつ)」
「肉球!!!!!!!!!!! 肉球かわいいの天才???? どうして肉球があるの??? もう一回見せて??? すごい天才…………見ても天才さわっても天才……すごい……もっと自慢してもいいのに自慢さえしない……どうしたお前……謙虚か……」
「ねえ……大丈夫……? そんなにかわいくて……さらわれたり……しない……? いや、さらわれる前に……私が……さらいますけど……(死ぬほどいやそうな顔をしてだっこされるとらさん)」
「ナ~~~~~~~~スエンニャ~~~~~~~ニャワビ~~~~~~~~(ライオンキングの最初のやつの適当な耳コピをしながらシンバみたいな感じでとらさんを持つ)(死ぬほどいやそうな顔をされる)」
「(動物番組見ながら)どちらにせようちのとらさんが一番かわいいと思うんだよな!!!!!」

 
 美というのはそれだけで全肯定せざるを得ないのだ。
 彼女のあらゆる隙を私はすべて肯定していくのだ。

 
 大体このノリを理解してくれる友人と動物ふれあい系のなにがしかに行くと
「お耳があるねえすごいねえ!」
「おめめで見れるねえすごいねえ!」
 という基本的なところから褒めちぎるので周りからすると「こいつら大丈夫か?」と異様にうつるかもしれない。すまん。ほんとすまん。
 でも生命活動をしていること自体がもうかわいいしすごいしえらいし天才だし神秘だし、なんていうか美って本当にプリミティブなんだよなって私は思うので全肯定まっしぐらなのである。

 
 最近テレビつけたりネット開くと殺伐としちゃったりしょんぼりしちゃうけど、ふわふわしたものさわってその対象を全肯定してほしいなって思います。
 近くになかったら動画見て「お前……そんなの……罪じゃん……かわいさの天才じゃん……」って画面の前でぜひ震えてください。
 なんだかわからないけど、誰かのすべてを無条件に片っ端から肯定していくのって、本当に本当に救われるんだ。
 だから今日もわたしはカサコソ歩くとらさんを「歩けて世界一すごくてかわいいねぇ!?」と褒めちぎる。

 
(お仕事がバタバタして7月のジャーナルは1回更新になってしまってごめんなさい!)